すぎはら眼科内科

Thyroid Disease甲状腺疾患について

甲状腺の病気について

甲状腺はのどぼとけの下にあり、蝶が羽を広げたような形をしていて、重さ15g〜20gほどの小さな臓器です。脳の中心にある下垂体からのホルモンを受けて、食事中からのヨウ素を取り込み、基礎代謝や脂質および糖代謝に関わる甲状腺ホルモンを分泌します。甲状腺の病気は、比較的女性に多く発症する傾向があります。どうも体調がすぐれないと感じておられる方は検査することをお勧めいたします。

甲状腺の病気には、“甲状腺ホルモンのバランスに異常がある状態“と”甲状腺に腫瘍ができた状態“の2タイプがあります。甲状腺ホルモンは多すぎても少なすぎても体調が悪くなってしまいます。

甲状腺の機能の検査について

甲状腺機能を評価するために測定されるのは主に甲状腺から分泌される甲状腺ホルモン(FT3、FT4)と脳下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)です。3つの検査のうち、最も安定していて信用のおける検査は甲状腺刺激ホルモン(TSH)です。甲状腺ホルモンが多すぎる人は、身体の反応として分泌刺激をしなくなり(TSH低下)、足りない人は、身体の反応として分泌を刺激するようになります(TSH上昇)。

甲状腺疾患の鑑別は上記のホルモンの値のみでなく、様々な抗体価を測定することで診断します。鑑別が悩ましい頻度の少ない疾患の場合が疑われる場合には速やかに専門医に紹介します。

当院では甲状腺のエコーをすることも可能で、甲状腺の大きさや状態を評価することができ、内部の腫瘍の有無などを検査することができます。

甲状腺の病気の種類

バセドウ病

甲状腺機能亢進症(甲状腺ホルモンが出過ぎて働きが強く出る病気)の代表的な病気です。主な症状は、甲状腺が腫れる、頻脈(脈が早くなる)、手の指が震える、汗をかきやすくなる、たくさん食べるのにやせる、イライラする、疲れやすい、ときどき手足の力が入らなくなるなどがあります。治療法には、薬物療法、131l内用療法(アイソトープ療法)、手術療法などがあります。当院では、原則として、バセドウ病が疑われた場合には連携する医療機関に紹介し、状態が落ち着いた方の薬物療法を継続して診させていただきます。

橋本病・慢性甲状腺炎

甲状腺機能低下症(甲状腺ホルモンが少なすぎて働きが弱くなる病気)の代表的な病気です。免疫の異常により甲状腺に炎症が生じて、甲状腺の組織が少しずつ破壊されてしまいます。甲状腺はほとんど腫れないものから、全体に腫れるものまでさまざまです。症状には、疲れやすい、気力が低下する、むくみ、寒がり、月経異常、体重増加、動作緩慢、記憶力低下、便秘などです。治療法には、甲状腺ホルモンの補充があります。

甲状腺腫瘍

甲状腺腫瘍には良性腫瘍、悪性腫瘍、腫瘍様病変(腺腫様甲状腺腫、嚢胞)があり、ほとんどの場合は“しこり”があるだけで、ほかには何も自覚症状がないのが特徴です。超音波検査、CTスキャン、MRIなどの画像検査で、偶然発見されることもあります。腫瘍が疑わしき場合には速やかに総合病院に御紹介をして精査を依頼します。なお、治療方法には良性と診断された場合は、原則的に治療ではなく経過観察、甲状腺嚢胞では貯まった液体を注射器で吸い出しエタノールを注入する治療(PEIT) があり、悪性腫瘍では手術や放射性ヨード内用療法などがあります。

参考文献:

  • 甲状腺疾患診断ガイドライン2021