⾻粗鬆症は、「⾻強度の低下を特徴とし⾻折のリスクが増⼤しやすくなる⾻格疾患」と定義されています。本邦では約1000万⼈以上が⾻粗鬆症に罹患してしいると推定されています。背⾻が⾻折すると背中が曲がったり、⾝⻑が低下したりします。脚の付け根の⾻が⾻折すると歩くことが不⾃由になります。進⾏してしまうと慢性的な腰や脚の痛み、要介護、さらには寝たきりの原因にもなります。
さらに⾻には体を⽀える柱としての機能だけでなく、膵臓、腎臓、精巣などの多くの臓器と密接な関わりがあります。⾻が丈夫であることは体全体が丈夫に保たれていることに直結しています。
⾻粗鬆症を年齢に伴い⾻が脆くなってしまう「⾃然な⽼化」と考えてしまうのではなく、「疾患」であると考えて、全年齢を通じての発症予防と早期の診断、適切な治療を⼼がけていきましょう。
前述したとおり本邦では1000万⼈以上の⽅が現在罹患しているといわれています。閉経後⼥性の⾻粗鬆症罹患率は60歳代で21.3%、70歳代で40.2%、80歳代で66.7%といわれております。脚の付け根の⾻折は年間で18万⼈の⽅が発症し、超⾼齢社会を反映して年々増加傾向にあります。
発症しやすい⽅は「⼥性(特に閉経後)の⽅」、
「50歳以上の⽅」です。
その他には
上記の⽅は性差を問わず発症しやすいといえます。
⾻の状態を調べるための検査はレントゲン検査、⾻密度検査、⾎液検査を当院では⾏うことができます。
X線を脚の付け根の⾻、腰の⾻を照射して測定して診断します。⾻粗鬆症の診断で最も精度が⾼く確定診断に⽤いることができます。
X線を腕の⾻に照射して測定するものです。
X線を⼿に照射して測定するものです。
超⾳波を脚のかかとにあてて測定するものです。10秒程度で測定することができて被爆をすることもありません。診察室で簡便に測定をすることができるため当院ではこの検査⽅法を主に使⽤しております。ただし精密な測定には向かないので、この検査で⾻粗鬆症の可能性が⾼い場合は近隣の専⾨医に御紹介をします。
当院診察室の⾵景
⾻折のリスクの評価にはFRAXが有⽤です。この数値は年齢や体格、基礎疾患などを⼊⼒することで10年以内の⾻折する可能性が表⽰されます。⼀般的に10年以内に15%以上の可能性で⾻折をしてしまう場合は⾻粗鬆症の治療が必要とされています。
まず治療の⽬的は⾻折を予防して⾻格の健康を保って、⽣活機能とQOLを維持していくことです。特に、脚の付け根の⾻折と背⾻の⾻折を予防することが肝要です。⾻粗鬆症の治療には以下があります。病態に応じて投与すべき薬を調整します。
⾻を壊す破⾻細胞を抑えることで⾻を強くしていきます。
⾻を壊す破⾻細胞を抑制して⾻量を増加させて⾻折を予防します。
⼥性ホルモンと同じ作⽤で⾻が減るのを抑制します。
⾻を壊す破⾻細胞を強⼒に抑制し⾻量を⾼めて⾻折を抑えます。
⾻芽細胞に働きかけ、⾻の形成を促します。
⾻に必要な⼒ルシウムを補います。
腸からのカルシウム吸収を助けます。
ビ⼣ミンKの摂取不⾜を補います。
⾻粗鬆症には様々な治療がありますが予防こそ最も重要です。若い時から⾷事と運動を⼗分に意識して継続していき⾻粗鬆症の発症を予防することこそが肝要です。
カルシウムとビタミンDをしっかりとることが⼤事です。
50歳以上の⼥性の1⽇における推奨量は650mgです。⾻粗鬆症治療のための推奨量は1⽇700〜800mgが必要とされています。
⾻を鍛えるためには運動が⼤事です。特にスクワットをお勧めしております。やり⽅は簡単で、呼吸をしながら、ゆっくりとしたペースで5〜6回繰り返すのを1セットとして、1⽇3セット⾏います。