すぎはら眼科内科

Hyperuricemia高尿酸血症について

高尿酸血症とは?

血中の尿酸が過剰な状態が続く疾患が高尿酸血症で、足指などが激しく痛む痛風は高尿酸血症によって起こる発作です。男女問わず血清尿酸値が7.0㎎/dl以上で定義されます。尿酸は水に溶けにくいため過剰になると尿酸塩の結晶になります。この結晶は鋭い針状で、主に手足の関節などに溜まります。この溜まってしまった結晶を白血球などが貪食し炎症反応を高め、激しい痛みを起こします。尿酸値が高いと必ず痛風発作を起こすわけではありませんが、尿路結石や腎疾患や心疾患を発症しやすくなるとの報告もあります。健康診断で尿酸値が高いことを指摘されたら早めに受診しましょう。

高尿酸血症の頻度は?

食生活が豊かになり美味しいものが溢れている現代日本においては、高尿酸血症の方は年々増加傾向にあり、2010年のデータでは成人男性の25%、女性は5%の方が罹患しています。年代分布は60歳代が多く、次いで50歳代、70歳代が多い疾患です。高尿酸血症がある方は高血圧や肥満や糖尿病などの生活習慣病を合併しており、生活習慣全体の改善が必要になる場合があります。

高尿酸血症の原因は?

高尿酸血症の原因はほとんどプリン体の取りすぎです。細胞のエネルギー源のプリン体は、代謝の際に尿酸ができます。また、肉類、魚卵などにはプリン体が多く含まれているため、こうした食品をとりすぎても尿酸が過剰になります。また、腎疾患などによる腎機能低下などによって尿酸の排出量が低下して高尿酸状態が続くこともあります。

高尿酸血症の型は?

正常な人は体内に尿酸を約1200mg貯めています。食物摂取と体内合成により一日約700mgの尿酸値が増加しています。一方、尿酸の主な排泄経路は腎臓と消化管であり、腎臓から約500mg/日が排泄され、消化管から約200mg/日が排泄され、合計一日約700mgの尿酸値が排泄されています。体内の尿酸は増加分と排泄分が一定に保たれていることで恒常性を保っています。高尿酸血症には体質や遺伝によって以下の病型があります。

尿酸産生過剰型 体内合成が促進されている型です。アロプリノールまたはフェブキソスタットの内服薬がよい適応になります。
尿酸排泄低下型 腎臓からの尿酸排泄が低下している型です。高尿酸血症のほとんどの方はこの型です。選択的尿酸再吸収阻害薬ドチヌラドまたは非選択的尿酸再吸収阻害薬ベンズブロマロンならびにプロベネシドが適応です。
腎外排泄低下型 消化管からの尿酸排泄が低下している型です。上述の尿酸排泄低下型と同様の内服薬を処方します。

高尿酸血症の治療は?

高尿酸血症の治療方法は痛風発作が起こっている場合と前兆がある場合と発作がない場合で異なります。

痛風発作が起こっている場合

痛風発作が起こっている場合は、まずは炎症や痛みを緩和する対症療法を行います。鎮痛剤を処方しますので、しっかりと炎症を鎮めることに集中しましょう。炎症があるうちに尿酸値を下げる治療を行うと症状が悪化する場合があります。また、すでに高尿酸血症の内服薬を服用している場合には継続するようにしましょう。

痛風発作の前兆がある場合

痛風発作の前兆がある場合は、コルヒチンを内服します。痛風発作を経験された方は発作が起こる前にムズムズした感覚を自覚されたことがあろうかと思います。その前兆を感じた場合は速やかにコルヒチンを内服しましょう。コルヒチンは白血球からの炎症物質の放出を抑えて発作を予防する効果がありますが、発作が起こった後では内服をしてもあまり効果はありません。

痛風発作が起こっていない場合

痛風発作が起こっていない場合は、血清尿酸値が7.0mg/dL以下になるように治療が必要です。急に下げようとすると痛風発作が起こることがあるので、慎重に下げることが重要です。痛風発作を起こしたことがある場合は、関節の中に尿酸結晶が溜まっていることが予想され、再発しやすい状態です。上述の目標尿酸値よりもさらに低値を長期間キープしないと結晶は消失しにくいといわれています。しっかりと内服薬を使って尿酸値を下げ続けていきましょう。

高尿酸血症の治療のベースは生活習慣の改善です。生活習慣での注意点はプリン体を多く含む食品(肉類、魚卵、レバー、ビールなど)を食べ過ぎないようにしましょう。DASH食(果物、野菜を増やし、飽和脂肪酸、コレステロール食を減らす食事)や、地中海食(オリーブオイル、ナットを増やし、脂肪食、肉類を減らす食事)は尿酸値を上げにくくする面では一定の効果が期待できます。痛風発作を抑制するためには、飲酒をしないこと、ビタミンCやコーヒーの摂取などがあげられます。また、激しい運動や脱水状態は痛風発作を誘発することが知られていますので控えるようにしてください。特に普段から肉類などを摂取して筋トレを激しくする方の場合は、筋トレ中から水分の摂取を余分にするようにしてください。

参考文献:

  • 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版