近年、コンタクトレンズの使用者の増加に伴い、コンタクトレンズによる眼障害患者さんが増えています。コンタクトレンズ使用者のうち10人に1人が眼障害を生じていると推測されています1)。
その背景にはケア方法が簡便になったことやインターネット通販などの入手経路の簡略化などがあります。眼科医の診察を受けずにソフトコンタクトレンズの装着を開始することや定期診察を長期間受けないままにすることはコンタクトレンズ眼障害の危険性を高めます。薄くて装用感の良いソフトコンタクトレンズの場合は、障害が起こっていることに気付きにくく、異物感や痛みを感じた時には、既に病状が進行しているケースも見られます。
原因の多くはコンタクトレンズによるこすれなどです。角膜や結膜に細かい点状の傷ができます。病状が進行してしまうと角膜潰瘍になり、治っても角膜の混濁による著しい視力障害や不正乱視が残り、角膜移植が必要となる場合があります。
上記の角膜上皮の傷などに細菌やアメーバ、カビなどが感染し炎症を起こします。重症化してしまうと著しい視力障害や不正乱視を起こすことがあります。
コンタクトレンズに付着した汚れや花粉、ホコリなどが原因です。かゆみ・異物感・充血などの症状がでます。ソフトコンタクトレンズはハードコンタクトレンズよりも汚れが蓄積しやすくこの疾患が多い傾向にあります。特に2週間交換のソフトコンタクトレンズに多くみられ、その場合は、2週間交換から1日使い捨てに変更すると改善することもあります。さらには、ケア用品によるアレルギー反応も関与しているとされています。
角膜は空気中から直接酸素を取り込むので、コンタクトレンズにより酸素不足になることがあります。酸素不足が慢性的に続くと、酸素不足を補おうと角膜周辺部から角膜中央部に向かって血管が進入してきます。血管が角膜に侵入すると角膜が混濁したり充血したりします。